カナ ダ人が将来 住みたい憧れの町 ケロウナで・・・
疲れた心を癒しませんか・・・
これから先の人生に必要なヒントとエネルギーが必ず得られるはずです


  

  

  

滝澤のカナダ移住&起業への道のり


 <第191話> 忙しさのルーティーンが出来上がった

2004年春。
このころ、私の仕事のパターンがしっかりと形になっていました。

カナダ産ワインの販売は主にインターネットを通じて、日本国内に宅配便で送付していました。
ワインの在庫は、あらかじめカナダから大阪に輸出していました。
大阪では、このワインビジネスを一緒にやってくれている大学で同期だった山中が、在庫管理と受注後の宅配発送を担当してくれていました。

私はネット上で販売業務に集中することが任務でした。
楽天市場に出店した自社サイトを活用し、メルマガを書くなどしての営業活動をパソコンの前で毎日行っていました。

朝、起きるとパソコンのスイッチを入れ、メールをチェックするとワインの注文が数件入っています。
その注文の処理は妻が行います。
私は午前から夕方まで、日本から来られているお客さんをアテンドしながら、ワイナリーにご案内したり、一緒にゴルフをします。

夕方、帰宅してメールをチェックすると、またワインの注文メールが数件入っていますので、それをその場で処理をして、大阪の山中と発送状況をメールで確認 し合います。

夕食を済ませると、次のワインの販売プロモーションを考え、インターネットのページに新しいプロモーションを掲載し、メルマガを配信します。ワイン販売用 のページの更新や、メルマガの配信作業は、週に2度ほどですが、こうした地味な作業は確実に受注に結びついていきました。

当初、インターネットでワインが売れるのか?という疑問もあったのですが、誠意をもって正しく取り組んでいれば、それがインターネット上であろうが、対面 販売であろうが、確実に販売できるという手応えを完全に感じていた日々でした。

日本から来られるお客さんは、連日に渡って続く時期もありますし、冬場は比較的スローになりますが、ワインの販売に関しては、年間を通じてクリスマス時期 が最も売れる時期です。
11月から12月にかけての2ヶ月間が最もたくさん売れる時期なのです。

ところが、日本からケロウナに来られるお客さんの流れというのは、11月と12月がもっとも少ない時期になりますから、結果的にツアー業務が忙しい時期 と、ワイン販売が忙しい時期が正反対になるという環境でした。

これによって、年間を通していつでも忙しくしていられることができるようになっていたのです。
しかし、忙しいと言っても通勤しているわけでもありませんし、自宅内にパソコンをしつらえた小さなオフィススペースを設置しているだけでしたので、いつで も仕事に取りかかれる体勢でした。

これは、見方によっては公私の区別がつきにくいとか、気持ちが休まるときがない、といように思われがちですが、私も妻も全く平気でした。海外に移住したか らといって、誰かが生活を保障してくれるわけではありません。
全ては自己責任で生きて行かなければならないわけです。

仕事がある、お客さんがいらっしゃる、そして売上が立ち、収入につながる、という流れがあるからこそ、精神的に安心できるのだろうと思います。

有り難い事に、日本からケロウナに来られたお客さんは、お土産用のワインを皆さん注文してくださいました。お客さんにとっては、重たいワインを持ち帰るこ ともなく、帰国したときには大阪からワインが届いているという便利がが好評を得ました。

通常のインターネットによるワイン販売の他に、ケロウナに来られたお客さんにお土産用としてワインをご購入頂くという販売ルートも出来上がるようになった のです。

こうして、私はケロウナという土地で、日本から様々な目的で来られる方々のアテンド業務と、ワイン販売業務を安定的に行えるようになっていました。




 <第192話> もうひとつのワイン業務

ワインの業務が形になり、忙しさを増し ていくと、思いがけない方面から新しい話を持ち込まれることが目立ってきました。
日本の雑誌社からの取材依頼や、カナダのワインに関する原稿執筆、日本のラジオ番組に電話で出演するなど、当初はまったく想像していなかった流れが起こっ て行ったのでした。

その中で、私自身、大きく判断を迫られた依頼がありました。

トロントにカナダ法人本社を置く日本の大手商社からの相談でした。
誰もが知っている日本の大手商社のカナダ法人は、日系大手旅行会社とタイアップし、日本人観光客に向けたカナダ産ワインのお土産販売ビジネスを展開してい ました。

その大手商社は、オンタリオ州ナイアガラの大手ワイナリー2社のワインを、予め日本に大量に輸出します。
日本側では、その大手商社とタイアップした輸入会社がまとめて輸入し、ワインを保管します。

タイアップしている大手旅行会社は、ナイアガラ観光の中にワイナリーツアーを組み込み、ワイナリーで日本人旅行客にワインを試飲させます。
そして、そこでお土産としてのワインの注文を、案内している旅行会社のガイドさんがまとめて取ります。
ガイドさんは、その日の業務が終了すると、ワインの注文書をトロントの大手商社にファックスをします。
大手商社は、そのファックスを日本の輸入会社にファックスします。

注文内容をファックスで受け取った日本側の輸入会社は、その注文内容に沿って宅配便でお客さんのご自宅に出荷するという流れです。
大手商社が考え、大手旅行会社がタイアップして組み立てられたワインお土産宅配サービスはとても良く出来た仕組みでした。

ところが、2000年以降になると、日本の先行き不透明感も相まって、カナダを訪れる日本人観光客が減少し始めました。
カナダを訪れる日本人のツアーコースは、ロッキー山脈とナイアガラの滝がメジャーな観光地です。
しかし、正直なところ、ナイアガラは一度行けば満足という風情のため、リピーター率が低いという弱点がありました。

大手商社が行っていたワインお土産宅配サービスも、年々、売上を落として行き、とうとう日本側の輸入会社がコストに見合わないという理由でギブアップをし たのでした。しかし、いくら売上が減少したと言っても、まったくゼロではありません。
やりようによっては、まだまだ十分に見込めるビジネスでした。
そこで大手商社は、新たな日本側の輸入者を探していたところ、我々に目を止めてくれたのでした。

突然、大手商社から電話を貰ったとき、私は何かの間違いなのでは?と思いました。

「こちら、M物産カナダ法人の△△△と申しますが、滝澤さんでしょうか?」

話の内容を聞きながら、彼らが我々に目を付けた理由がすぐに理解できました。
日本でアルコール類を輸入するためには、日本の酒販法に則った免許を有していなければなりません。
しかも、平成以降、酒販免許は用途に応じて細かく分けられるようになりました。

ここで必要な免許は、

1)輸入ができる免許
2)小売り免許
3)通販免許

この3つを有していなければなりません。
我々が行っているワインの販売ビジネスは、私がカナダからの輸出元ですが、日本では山中が輸入者になっていました。その山中は全ての種類の酒販免許を持っ ている立場でしたので、大手商社は我々のワインビジネスの仕組みの中に、彼らのビジネスを組み込んでもらおうと考えていたのでした。

どうするか?
やるか?
それとも断るか?




 <第193話> トロントから説得に

思いもよらぬ大手商社からの依頼に対し て、私はかなり 戸惑いました。
日本側でワインの輸入業務と、商品管理、発送業務を担当してくれている山中と電話で何度も話し合いました。

「どうするか・・・?」
「いろいろ問題はあるよなあ、、、」

一瞬、魅力的な話に聞こえなくもないのですが、私たちにはいくつかの不安点がありました。
ひとくちにカナダ産ワインと言っても、その産地は大きく2つに区分されます。

・東部のワイン
・西部のワイン

私たちが【わいん@カナダ】として立ち上げ、展開して来たのは西部のワインです。
バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州のワインで、その中心産地がケロウナ地方で、ケロウナがその中核都市になります。
私が自信を持ってこのワインビジネスに取り組んだ背景には、自分自身がケロウナに住んでいるという利点を最大限に活かすことができたからです。

いくら、「美味しいワインですよ」とか、「おすすめのワインですよ」と言われても、その信憑性には疑問が生まれます。
日本ではたくさんのワインショップがネット販売を行っている飽和市場でしたから、いかにして差別化を図り、それを消費者に分かってもらい、なおかつ魅力的 に見てもらえるか?という部分については、売り手である私自身が産地に住みながら、つねにワイナリーの環境の中に身を投じていられることが大きな武器でし た。しかし、東部のワインとなると、同じカナダと言えども別の国のような感覚があります。
飛行機でトロントまで5時間のフライトになります。当然、そこに在住することもできず、短期の出張ですら無理が生じます。

そんな迷いを抱えているうちに、大手商社側がしびれを切らし、担当者がケロウナまでやってくることになりました。
まだ春の気配が感じられない2月下旬のことでした。
カナダ人の上司と部下の日本人女性の2名が、遠路トロントからケロウナへ来てくれたのです。

彼らの話を一通り聞いた私は、そこにおかしな悪意や仕掛けが無いことはすぐに理解できました。
業務としての条件も決して悪いものではありません。
また、日本側での輸入、商品管理、配送業務といった一連の作業も、通常の我々の業務とほぼ同じでしたから、業務オペレーションとしての難しさはありませ ん。

カナダ西部のワインだけでビジネスをしていくと決めていた私たちにとって、カナダ東部のワインは、同じカナダのワインと言えども、やはり身近に感じられる 事ができなかったのは確かです。しかし、実際の販売や受注業務は、私たちの手を離れた遠くナイアガラの観光地で旅行会社が観光客向けに行うものなので、私 たちが販売活動に時間を費やす必要はありません。
言うなれば、配送受託業務ということです。

「どうですか? やっていただけませんか」

真剣な眼差しで懇願するかのように説得する彼らに対して、私はあえて断る理由がありませんでした。

「すいません、1日時間をください。大阪の山中の意見を確認しますので」

そう言って、彼らとの打合せを終えました。
彼らをケロウナ空港で見送った後、自宅に戻る車の中で、私は先々の展開に思考を巡らせていました。

「さあて、、、、どうするか、、、、」





 <第194話> この話を受けてみること に

自宅に戻った私は、さっそく大阪の山中 と打合せをしま した。
これもひとつの流れなのかもしれないな、というニュアンスを私たちは感じ取っていました。

ただ、ひとつ疑念がありました。
そもそも、この大手商社のワイン販売ビジネスは、日本側での輸入と在庫管理、配送業務を担当していた会社がありました。
その会社は、航空界社系の商社でした。

つまり、もともとは大手商社同士によるビジネスモデルだったのです。
ところが、日本側で業務を担当していた商社が、採算に見合わないということで撤退を決めた事により、
ある意味、棚ぼた的にこの話が私たちに舞い込んで来たのです。

私たちの規模は極少数でしたから、大手商社には採算に見合わなくても、私たちのような立場であれば
十分に採算に見合うものでした。
しかし、このビジネスモデルはスタート時においては、カナダ側の商社も日本側の商社も、十分に採算に見合っていたはずです。
それが年々、採算性が悪化したことにより、日本側の商社が撤退を決めたわけです。

つまり、売上自体は年々下降線をたどって行くということが予想されました。
ひところのように、海外旅行に行った現地でお土産を大量に購入するという消費動向が薄れて来ているのが最大の理由だと思います。

たしかに、一昔前であれば、「せっかく来たのだから!」という気持ちの高ぶりが消費心理を押し上げます。
様々なお土産を買う中で、ナイアガラの滝を訪れる観光コースには必ずワイナリー巡りも含まれていましたので、
わざわざ購入してスーツケースに入れなくても、現地で注文し、自宅にワインを宅配してもらうというサービスは重宝がられたと思います。

おそらく1990年代には、かなりの量のお土産品が、このような手法で取り扱われたのでしょう。
しかし、2000年代に入ると、もはや海外旅行に行った先で、山のようにお土産を購入するという消費者は姿を消してしまいました。
この傾向は、年々、強まるでしょうから、このビジネスに私たちが途中参加したからと言っても、
ビジネス自体の寿命はそんなに長くは無いなあ、、、という予想を立てていました。

その上で、私たちはやれるところまでやってみよう、という決断をし、このカナダお土産ワインの宅配受託サービス業務を行うようになったのでした。

さっそく、トロントにある大手商社の担当者と連絡を取り合いながら、システムの移行作業を開始しました。
お客さんが注文した内容は、それを受けたそれぞれの旅行会社からファックスでケロウナの私の自宅オフィスに送られてきます。
そのファックスの内容を確認し、クレジットカードの承認作業をし、全てクリアになった段階で、注文データをメールで大阪の山中に送信します。
そのデータを受け取った山中は、宅急便で指定された送り先住所に発送します。

1年の中で、もっとも受注が集中するのが、9月と10月でした。
この季節に、ナイアガラの滝と紅葉、そしてワイナリー巡りをセットにしたパックツアーが日本で大々的に売り出されていましたから、
必然的にこの時期には毎年多くの日本人観光客が来訪していたのです。

特に9月下旬から10月初めにかけては、ファックスが鳴り止まないくらい、次から次へと注文のデータが送られてきます。
ファックス機に差し込んでいる印刷用紙が足らなくならないように、妻はいつも気を遣っていました。

2〜3時間、家を留守にした後、帰宅すると、受信したファックス用紙が分厚く溜まっていることもたびたびあり、
それらの受注データをひとつずつ確認しては、大阪に発送指示を送っていたのです。

結果的に、このビジネスモデルが忙しく稼働していたのは、私たちが途中参加してから、5〜6年の間でした。
予想はしていたとはいえ、年々、受注量が減少して行きました。
また、平行するように、カナダを訪れる日本人旅行客の数も、少しずつではありますが、毎年減少して行くという業界自体の変化があったのです。

ただ、わずか5〜6年という短命に終わったビジネスモデルではありましたが、これはこれで良い経験をさせてもらったと思います。
特に、カナダという国を訪れる日本人観光客の動向や変化、その流れを肌身で感じることができたことや、カナダ国内の旅行会社さんと
おつきあいができるようになったことは、その後の大きな財産になったのです。





 <第195話> ケロウナの不動産

2004年春。
カナダに移住し、ケロウナでの生活をスタートした当初から、私は暇さえあれば不動産を見学していました。
ケロウナはカナダ人が住みたい町として人気が高いだけあり、人口は毎年増え続けていました。

それに伴い、新しい不動産物件が次々に出来上がっていました。
そうした新しい不動産物件の場合、必ず見本の物件があり、こちらでは「ショーホーム」(Shaw Home)と呼ばれています。
通常、新築物件のショーホームは金曜日が定休日となり、それ以外の日の日中であればいつでも気軽に見学することができます。

価格、間取り、広さ、部屋数、設備など、ショーホームを見学することで実にたくさんの知識が身に付きます。

・市場価格の相場観
・日本の不動産との相違点
・カナダ人が好む物件の特徴

こうした感覚を養うためには、徹底的にいろいろなタイプの不動産を直接見るに限ります。
私は不動産に興味があったため、かなりな数の不動産物件を集中的に見て回りました。

新築の不動産を見学すると、その時代の流行や最新の設備類を間近に見る事ができるということが最大の利点です。
特にキッチン設備は、おおむね5年サイクルで大きく様変わりします。
新しいキッチン設備は、やはりそれ相応に見応えがあり、思わず欲しくなってしまうほど上手なデザインでまとめられています。

また、年々、素材が洗練されていきますから、家全体の雰囲気も時代によって変わって行きます。カナダ人は長い冬を快適に過ごすにあたって、必然的に家に籠 る時間が長くなりますから、居住空間は広めに保たれます。
また、住環境そのものに対して非常に真剣に考えます。

日本ではどうでしょうか?
お父さんは通勤に片道何時間もかけて、帰宅は午前様になってしまうため、1日24時間の中で自宅で過ごす時間は少ないものになってしまいます。
ゆっくり家で落ち着くとか、快適に過ごすということよりも、お風呂に入って寝るだけということになりがちです。

カナダはその真逆になるため、カナダ人は家で過ごす時間を長く取りますから、ごく自然に家に対する眼力というものが養われて行くのだろうと思います。

戸建住宅、コンドミニアム(マンション)、タウンハウス(マンション型の戸建住宅)というように、カナダの不動産は大きく分けて3つのタイプに分類されま す。
それらは、おのおのに特徴があり、価格帯も実に様々です。
最終的に自分が求める価格、間取り、広さ、環境、設備などを熟慮し、最適な不動産を見つけるべく、カナダの人々はショールームを見学することが日常的なの です。

私もカナダ人にならって、とにかくたくさんの不動産物件、ショーホームを見学していきました。

いつの頃からから、独自にカナダの不動産を見極めるポイントを身につけることができ、自分なりにそれらを体系化しました。そして、ケロウナの不動産を フォーカスした専門のサイトを立ち上げ、日本人向けに情報を公開しました。

まさか!
と思うくらい、実に大きな反響を頂き、これを契機に日本から不動産見学者を受け入れることになっていったのです。

2001年からリーマンショックがおこった2008年秋までの間に、私がケロウナの不動産の売買契約を結んだ数は30契約を越えることになりました。
それらは全て日本に住んでいる方々が、海外資産として不動産をケロウナに購入されたというものでした。
結果的に、ケロウナの不動産の仲介業務を行うようになっていったことも、元を正せば私が個人的にケロウナの不動産に魅せられ、興味を抱いていったことが キッカケだったのです。





 <第196話> 不動産見学に訪れる人々

2004年春。
ケロウナの不動産に関する情報を専用のホームページから、様々に発信するに従って、日本からケロウナに不動産の見学を目的にされる方々が訪れるようになり ました。
もちろん、全てが不動産見学が目的ではなく、ワイナリーやゴルフ、ケロウナの見所を楽しみながら、その中に不動産見学を盛り込むという内容でしたので、ガ チガチの不動産見学ということではありません。

実はこれはとても理にかなったことなのです。
どんなに安くて良い物件があったとしても、その物件単体だけを見ていると、「木を見て森を見ず」ということになってしまいます。

例えば、ものすごくゴージャスな家があったとします。
値段も手頃で十分に手の届く予算内だったとします。
家の間取りも部屋数も、全てにおいてパーフェクトな物件だったとしましょう。

その物件自体は素晴らしく条件に見合っていたとしても、、、、
その家が砂漠のど真ん中に建っていたとしたらどうでしょうか?

砂漠の真ん中にというのは、例えとして大げさ過ぎますが、要するにその物件の周辺環境はどうなのか?ということです。
買い物に不便だったり、公衆衛生環境が劣悪だったり、騒々しかったり、さらには治安が悪い地域だとしたら、いくら物件そのものが素晴らしくても、そもそも 購入の対象外になるのです。

さらに広義的に考えると、その物件がある町はどうなのか?
自分にとって最適な町なのか?
そもそも好きになれる町なのか?

ということを見極める必要があります。
この場合で言うと、そこはカナダのオカナガン地方にあるケロウナという町ですから、まずはケロウナという町が自分にとって理想的な町だと感じるかどうか? ということが大きなポイントです。

ケロウナは自然環境に恵まれ、ワイナリーやオカナガン湖が見せてくれる景色は圧巻です。フルーツや野菜など地元で採れる食材も豊富です。治安も良く、対日 感情も良い町ですから、日本人にとって暮らしやすい町であることは事実です。
しかし、大都会ではありません。住む地区にもよりますが、基本的に車がなければ生活に支障をきたします。

そのためには、「森を見る」という意味でも、ケロウナという町の隅々を見て頂く必要があります。
それを滞在中に、「ケロウナ旅行」という形で楽しみながら、町の全体像を掴み、肌で感じて頂くことが有意義な作業になります。
私は不動産屋ではありませんから、こうした観点でお客さんをご案内していました。

ワイナリーでワインの味を一緒に楽しんだり、一緒にゴルフをしたり、オカナガン湖の遊覧船に乗ったりと、ほとんど一緒に楽しんでいたような感じでした。
こうしたことを繰り返すことで、私自身の経験値が高まり、物件を見極める目が養われていく効果に繋がりました。

日本から来られたお客さんたちは、観光地を巡るだけの旅行よりも、新鮮で刺激があった!と大喜びされていました。
最終的に不動産を購入する以前に、満足を高めていただくカナダ旅行をして頂けたということだけでも私としては十分な成果だったのです。





 <第197話> リピーターが続々やって くる

2004年夏。
きっと楽しいだろうな、、、、 
という想像ではじめたのが「不動産見学&勉強ツアー」でした。これが予想以上に好評を得る事になりました。

平日の場合は、こちらで「ショーホーム」という見本の住宅やコンドミニアムの部屋を見学に訪れます。
日本で言うところのモデルルームです。
通常、昼12時から夕方5時までの営業時間の業者がほとんどですから、午前中はケロウナの町の全体像を理解して頂くために、高台からケロウナの町を眺めて 頂き、東西南北の確認を行います。

主立ったワイナリーに立ち寄ったり、周辺のスーパーや日常の買い物エリアを見て回ります。
実際に住むとか、住まない、という決定的なことは後回しとして、

「もし、本当に自分がこの町に住んだとしたらどうなるか?」

というシュミレーションを行うのです。
特に重要な要素は距離感です。日本と比べて道路事情が良いので、ちょっと車で移動したつもりが、実はかなりな距離に至っているということが多々あります。
距離感のズレを修正することや、物価の比較作業も重要な要因になってきます。

こうしたシュミレーションを繰り返しているうちに、少しずつですが、海外に住むということが現実的に見えてくるようになります。それまでは100%完全な 観光旅行気分だった方が、

「まてよ? ひょっとして本当に住めるかもしれないぞ」

という思いを抱くようになってくれます。
そうなると、不思議なもので今まで見えてた風景が全然違って見えてくるようになります。

普通の観光旅行だったら、気がつかずに見過ごしていた風景にも自然と目が止まるようになります。
それが面白いのです。
この面白さを知ってしまうと、もはやありきたりの観光地を巡るだけのツアー旅行では満足しきれなくなるようです。

実際、この不動産見学&勉強ツアーは、繰り返し日本から訪れて下さるリピーターの方も多くいらっしゃいました。
初めて内部を観ることができるカナダの住宅に、誰もが一様に興味津々という表情でした。

ワイナリーを目当てにしたお客さんも数多く来られましたが、ワイナリー目的の方というのは基本的にリピーターにはなりません。
外国のワインの産地を訪問したということだけで十分であり、次に行くときは別の国の産地を訪れるようになります。
つまり、1度行けば目的を達成できるという特徴があるのです。

一方、不動産ツアーはリピーター率が大変に高く、それまで不動産にはあまり興味が無かったという方たちが、この魅力を知ってしまうと、いろいろな物件を見 て回りたいという思いに駆られるようです。

実はこれには別の理由もあります。
私は不動産屋ではないので、お客さんから見た場合、

「ひょっとして騙されるかも?」
「もしかしたらしつこく営業されるかも?」

という不安を感じる対象にならないということです。
そうした私の立場に対する安心感を皆さんが感じて下さったという点では大変に有り難いことでした。

また、ショーホームに行くと、当たり前ですが日本語は通じません。
ショーホームによっては、見学前に軽い質問をされたり、アンケート用紙に記入しなければならないところもあります。
日本から来られた方々にとっては、とても煩わしい作業であり面倒なことがいろいろあります。

ただ、私が引率することで、お客さんにとって面倒だと思われる作業を私が代わりにやってしまいますから、この点でも大変に喜ばれました。

2003〜2008年の間は、日本からケロウナに来られるお客さんの約半数が、不動産見学や海外不動産の勉強を目的に訪れる方でした。
そして移動の合間にワイナリーに立ち寄ったり、広大なオカナガン湖を眺めたり、ダウンタウンを散策するというスケジュールにしたことによって、トータルと してケロウナを楽しんでもらう形が仕上がっていったのでした。





 <第198話> 一瞬の夢でも構わない

2004年。
本当に大勢の方々が日本からケロウナに来られ、ケロウナの不動産を見学されて行きました。

プール付きの大豪邸だったり、
オカナガン湖が一望できる高台の家だったり、
自宅庭前にプライベートの桟橋があったり、
小ぢんまりしながらも清潔で明るい高齢者住宅だったり、
管理が行き届いて使いやすいコンドミニアムだったり、
ゴルフコースの中にある物件だったり、

実に様々なタイプの不動産物件がある中から、その人にとって理想となる物件を見学して回りました。

「良いなあ、、、こんなところに住みたいなあ」
「綺麗な景色だなあ、、、」

皆さん、ため息混じりの感想を漏らします。

私自身、このようにしてケロウナの不動産を身近に体験することによって、知識を深めて行くことができました。

日本の不動産と決定的に違う点は、ケロウナの不動産は周辺環境との調和を大事にしているということです。

日本にも高級物件はありますし、巷で言われるような高級住宅街もあります。
しかし、日本はもともと余裕の無い限られた土地に建物を建てなければならないという制約がありますから、周辺環境との調和を考えていたら、そもそも家が立 たなくなってしまいます。

一方、カナダは広大な国ですから、日本に比べると圧倒的に土地の利用の余裕度が大きいという利点があります。
ケロウナも同様です。

従って、隣家との間隔はお互いにストレスを感じない程度の余裕が保たれつつ、しかし清掃管理に労力がかからないように植栽などが効率よく施されています。

また、ケロウナの中心部には、20階建ての高層マンション群が立ち並ぶエリアがあるものの、しかし、基本的には低層の建物ばかりですから、どの家からも必 ず空が大きく広く見えるのです。

南北に沿って細長く延びるオカナガン湖に並走するように、やはり南北に山稜が広がっていますので、視界を圧迫しない心地よい風景として山並みも見渡す事が できます。

ケロウナの家々からは、空や山、場所によっては湖が見える自然の風景を、そのまま家の中から眺めることができるという点において、実に見事なくらい周辺環 境と上手に調和しているのです。

こうした不動産を見学していると、その時の一瞬であっても、まるで自分がケロウナに住んでいるかのような良い意味での錯覚を起こします。
擬似的な海外生活を体験できるという意味においても、日本から来られた方々の満足度はとても高いものになっていました。

お客さんによっては、ワイナリーツアーが目的であったのに、翌日からは不動産巡りに切り替えて欲しいとおっしゃる方もいらっしゃったほどです。当初はワイ ナリーを巡りながら、時間調整の意味で、少しだけ不動産を見学して、その後またワイナリー巡りをするというスケジュールだったのですが、不動産見学を主に して、移動途中にワイナリーに立ち寄るという内容に変更された方も大勢いました。

実際に買う買わないということよりも、外国の不動産を見学できるということが強烈に刺激的だったようです。
また、これが病み付きになってしまって、毎年、ケロウナの不動産を見学するために訪れる方も次々に現れました。

「そうだよなあ、、、確かにケロウナの不動産は魅力的だよなあ、、、」

たくさんの不動産を見学している私ですら、ケロウナの不動産はバンクーバーなどの有名な都市ではあり得ない魅力で溢れていました。
とにかく綺麗。自然と調和している住宅環境の素晴らしさはカナダ随一だと思います。





 <第199話> 高級住宅街の体験的学習

2004年。
もともと不動産に興味を持っていた私は、カナダに移住した当初からケロウナの不動産に魅せられていました。

最初に感じた疑問は、
「日本との違い」でした。

確かに日本にも、数多くの高級物件があります。
しかし、ケロウナで感じたものと明らかに何かが異なっていました。
ケロウナに移住した直後から、その差異を強烈に感じていました。

それは一体何なのか?

答えはすぐに見つかりました。

日本では不動産そのもの、つまり不動産単体で善し悪しが決まります。
戸建住宅であっても、マンションであっても、基本的にはその物件自体が高級なのか、そうでないのか、というように優良物件か否かに分けられます。

例えば、ものすごく豪華な戸建住宅があったとします。
しかし、その家の近所にはコンビニがあったり、工場があったり、普通のアパートがあったり、というように様々な不動産が集積しています。
地方の場合であれば、家の隣に他人の畑や田んぼがあるなど、もはや日常的です。

これらは結果として善し悪しがありますから、一概に悪いとは言えません。
例えば、家の近所にコンビニがあったとします。
徒歩ですぐコンビニに買い物に行けるわけですから、日本ではこれは大変便利なこととしてプラス評価されます。

しかし、欧米では真逆になります。つまりマイナス評価になるのです。

ケロウナの場合も同じです。
住宅街には、コンビニはおろか、自動販売機の1台もありません。
欧米の場合、住宅街は静かで安全であるということが大前提になります。

もし、住宅街の中にコンビニがあると、その住宅街の居住者でない人までが押し寄せるようになります。
欧米ではこうした人の流れを特に嫌います。

必然的に、良い住宅街、高級な住宅街になればなるほど、その区域にはお店もなければコンビニもありません。
欧米では、こうした環境をルールによって徹底することにより、極めて静かで安全な住宅環境を意図的に造り上げ、守って行きます。

一方の日本はどうかというと、
・駅に近い
・近くにスーパーやコンビニがある
・公共機関があれば更に良い

というように、まずは徒歩でアクセスできる利便性が重要視されます。

欧米は完全な車社会ですから、用事があるなら車で行けば良いんだと割り切っているのです。
そうすることによって、住宅街そのものへの人の流入を極限まで防ぐ目的があります。

アメリカは、治安に不安があるため、住宅街に出入りするところにゲートがあり、セキュリティが完備されています。
警備員が24時間常駐しているところもあります。
いわゆるゲーティッド・コミュニティーという住宅街ですが、アメリカではこれは当たり前のことです。
東南アジアでも、一定の富裕層が住む住宅街は同様の形式を施しています。

一方、カナダはそこまで治安が悪くないので、高級住宅街に車を運転しながら見て回ることができます。

私は時間があるときは、ケロウナの高級住宅街の中を車でぐるぐると運転しながら見物していました。
見れば見るほど、日本の住宅街とケロウナの住宅街の違いを実感し、その意味や理由を明確に理解していったのです。

こうした作業を、日常的な楽しみの延長として繰り返して行くうちに、専門性が自然と身に付いていったと思うのです。





 <第200話> 不動産投資の基本を抑え る

2004年。
この当時、だんだんと日本人が海外の不動産に目を向け始めた時代でした。

日本の書店に行くと、株式投資や不動産投資の関連書籍が目立つようになっており、
不動産投資には海外不動産への憧れを伴った情報が多く出回るようになりました。

メールを通して、カナダの不動産に関する質問を頂く機会が増えてきました。
しかし、メールで問い合わせをされる方は、皆さん共通していました。

「投資利率は何%くらいですか?」

ひたすらにそれだけを求めているのです。
要するに、投資した額から得られるリターンをより多く求めるのです。
極端に言うと、それ以外は眼中にないという感じです。

よく、「不動産投資」と言いますが、これを正しく理解しないうちに、不動産を購入してはいけません。
また、いわゆる「設け話」に乗ってはダメです。

不動産投資から得られる利益には2つの種類があります。

・キャピタルゲイン
・インカムゲイン

です。
キャピタルゲインというのは、買った時よりも売った時の不動産価格が高いことによって得られる譲渡益です。
単純に安く買って、高く売れば、その差額が儲けになります。

インカムゲインというのは、家賃収入です。
購入した不動産を賃貸に回すことによって得る収入です。通常カナダでは賃貸契約は6ヶ月以上1年までという契約が主ですから、1年間借りてくれる人がいれ ば、毎月固定の収入が得られることになります。

不動産投資は、まず、どちらの利益を求めやすい物件なのか?ということを見極める必要があるのです。

また、不動産には一定のコストが掛かります。
自分で所有している不動産である限り、自宅として使おうが、賃貸で貸し出そうが、持ち主には一定のコストが掛かります。

・固定資産税
・火災保険(戸建住宅の場合)
・月額管理費(コンドミニアム、タウンハウスの場合)

この3つは必ず掛かります。
また、この他の不意の出費が発生する可能性もあります。
破損や故障が起こった場合、持ち主が修理代を払わなければなりません。

不動産投資によって得られる利率には、
「表面利回り」と「実質利回り」があることも頭に入れなければなりません。

例えば、よく日本で見かける不動産投資の広告には、
「アパート経営で利回り12%」などというものが多く見られます。

世界的に低金利の時代に、12%の利回りは大変魅力です。
しかし、よくよく考えてみれば、それは営業広告ですから、何か裏があるのです。

それが、「表面利回り」だけを宣伝し、「実質利回り」を隠すという手法です。

12%の表面利回りだとしても、
・空室リスク
・固定資産税
・保険
・ローン金利
・修繕積立金

を差し引いて行くと、12%がどんどん下がって行きます。
ひどいときは、マイナスに転じることすらあります。

不動産投資の基本知識として、まず念頭に置くべきことは、
「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」という2つの利益があるということ。
そして、「表面利回り」と「実質利回り」という2つの利率計算があることを覚えます。

そして、極めつけが「出口戦略」を考えることなのですが、日本は戦後、一環して土地神話が続いていましたので、
そもそも不動産に対する出口戦略を持たない人が実に多いのです。
この点も欧米の不動産投資の意識と真逆になるポイントです。

不動産投資をするにあたって、日本人的な感覚と欧米人の感覚の違いについて、不動産に興味を示す方々にお伝えする機会が増えていったのが、2004年頃か らのことでした。




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