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◆ 我が家の愛犬ケンケンの想い出
この写真は、2009年2月に撮影した写真です。
当時住んでいたケロウナの自宅で、私の膝の上にいるケンケンです。
ケンケンは、人に対してしつこくしません。
礼儀やマナーをきちんとわきまえていて、すごく遠慮深いのです。
妻が、私の膝の上に、「よいしょ!」と乗せてくれることが度々あります。
そのときのケンケンは、写真のように黒いまん丸の目でじーっと労わるように
見つめてくれます。
とっても優しい顔と優しい目。
どんなに辛いことがあっても、ケンケンの顔を見たら、
嫌なことなんか、すぐに消えてしまいました。
2011年1月8日。
前日の夜、ケンケンが永眠してから、12時間が経過しました。
永眠した直後に一番気に入っていた毛布で、ケンケンの首から下を
まとってあげていたせいか、体にはまだうっすらと暖かさが残っていました。
でも、もう体が硬くなっていて・・・
あの柔らかかったケンケンの体の感触がどんどん失われていきました。
午後12時。
私と妻は、SPCA(カナダ動物愛護協会)にケンケンを車で運びました。
車に乗るのが大好きだったケンケン。
ドライブが大好きで、小さい時から、とにかく車に乗るが大好きでした。
いつも車に乗るときは、助手席の妻の膝の上がケンケンの定位置でした。
「ケンケン、重いよ! じっとしてて!」
妻はいつも困ったような嬉しいような、そんな言葉をケンケンに投げかけていました。
それなのに・・・
この日のケンケンは、毛布に包まれて、後部座席でした。
でも、顔はちゃんと毛布の外に出ていますから、
本当にすやすやと眠っているようでした。
SPCAに到着し、火葬の手続を依頼しました。
カナダは、動物愛護においては世界トップだと思います。
こうした団体が全国組織として活動をしてくれているおかげで、
カナダには、捨て犬はいませんし、迷子の犬も必ず保護されます。
動物虐待の多い日本と違って、カナダでケンケンと暮らせたことは、
私たちにとって、とても安心できる環境でした。
だから、ケンケンも安全に健やかにカナダで最期を迎えることができたと思います。
SPCAのボランティア職員の女性が、涙にくれる私たちを慰めてくれました。
もう、ここで、この場所で、これがケンケンの体を触るのは最後でした。
その女性は、
「14歳! 14歳には見えない・・・ なんてキレイな犬なんでしょう」
とビックリしていました。
ケンケンはとてもキレイな犬でした。
最期まで、キレイな姿でした。
SPCAを後にした私たちは、自宅に戻り、すぐに外出しました。
ケンケンの散歩コースを歩くためです。
今日から、毎日の日課です。
ケンケンの散歩コースの定番は、5パターンほどあります。
コースの組み合わせにって、20~30コースくらいになります。
この日、私たちはケンケンが一番好きだったロングのコースを歩きました。
ケンケンと一緒に散歩するように、いつもの感じで歩きました。
このロングコースを、ケンケンと一緒に最後に歩いたのは・・・
いつだった・・・?
日にちまでは覚えていませんが、
12月初旬だった、ということが私と妻の同意見でした。
1ヶ月前・・・
たった1ヶ月前は、ケンケンは、まだこのコースを歩いていたのに・・・
午後3時過ぎのことです。
いつもの散歩コースを海岸に向かっていましたら、
ノースバンクーバーを望む方向に大きくてキレイな虹が出ていました。
「虹だ! 虹の橋だ!」
妻は泣き出しました。
インディアンの伝承として、世界中の動物愛好家に伝わる話があります。
『虹の橋』 という言い伝えです。
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現世で人間から愛情をたくさん注いでもらった動物は、天寿を全うすると、
虹の橋を渡って、幸せな世界で新しい生活を始めるそうです。
たくさんの友だちや、美味しい食べ物に恵まれ、
楽しく暮らすことが出来るのです。
でも、とっても気になることがあるそうです。
現世に残っている、優しかった飼い主が悲しんでいる姿を知っているからです。
虹の橋を渡った動物は、飼い主との再会を心待ちにしています。
やがて、飼い主が天寿を全うしたとき、虹の橋の向うから、その動物は
全速力で迎えに行くのです。
そして再会を果たすのです。
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バンクーバーは、1月7日まで曇天模様で小雨続きの天候でした。
昨日、1月8日は薄っすらと晴れ間が覗きました。
でも、バンクーバーの冬を知っている方ならお分かりの通り、
この時期に、虹が出るなんて、有り得ないことです。
海岸沿いの歩道を行き交う人たちも、
口々に珍しい!と口にしながら、写真に収める人も大勢いました。
その虹は、海面から昇り立ち、とても濃くて美しい色をしていました。
ケンケンが虹の橋を渡っている・・・
今、渡っている・・・
ケンケンは飼い主思いで、たったの1度も迷惑を掛けたことの無い
頭の良い、賢い賢い犬でした。
本当に私たちのことを一番に考えてくれていた犬でした。
そのケンケンが、私たちに虹の橋を見せてくれたのです。
季節外れの虹。
それは虹の橋です。
ケンケンがその橋を渡っていく姿を私たちに見せたかったのだと思います。
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