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◆ 我が家の愛犬ケンケンの想い出



2011年1月7日 夜9時。

ケンケンの息遣いはこの日、私と妻の目の前で終わりを告げました。


いつか、この日が来るってこと、ケンケンと出逢ったときから覚悟していました。
その日が来たら、どうしようもない悲しみと辛さに襲われるだろうってことも。

だから、私たちにとってケンケンが最初で最後の家族にしようって決めていました。
もう二度と犬は飼わないって決めていました。


あの日。
ケンケンが死んでしまったあの日のこと。
今でもはっきり覚えています。

夕方から、ケンケンの目は瞳孔が開いたまま、瞬きをしなくなりました。
息遣いがどんどん荒くなっていって・・・

「ケンケン! 瞬きして! ばちぱちして!」

ケンケンのまぶたを下ろそうしても、いくらやっても、瞬きをしてくれませんでした。
あんなに可愛くて、黒くて丸い目だったのに、もう焦点があっていないんです・・・



もうダメなのか・・・



私たちが覚悟をしたとき、ケンケンはお尻から真っ黒いウンコを排泄しました。
お腹の消化器官は、もう機能していなかったことを、このとき知りました。

次の瞬間でした。
ケンケンの目がいつもの目に戻りました!

ぱちぱち! ぱちまち!って、いつものように瞬きをしてくれます!
丸くて黒い目も、いつものケンケンの目に戻りました!

「やった! 治った!」
「ケンケン!がんばれ!必ず元気になれるよ!」

ケンケンは、いつもの丸い目で、私をじーっと見つめていました。
瞬きもしていました。

あっ!

そのとき、私にはケンケンの声が聞こえました。
はっきりと聞こえました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ケンケン・・・」

ケンケンは、私がその言葉を理解したことを確認したかのように、
大きく溜息をつきました。
疲れたような溜息でした。

そして、ふたたび苦しい表情に戻り、瞳孔が開き・・・・

くうーん
くうーん
くうーん・・・・・・・・・・



ケンケンはとてもキレイ好きでした。
家の中でウンコやオシッコは絶対にしませんでした。
それは、ケンケンが私たちとずっと交わしてきた約束でした。

ケンケンは、

いつも、約束を守ってくれました。
いつも、私たちの役に立とうと頑張ってくれていました。
いつも、私たちに迷惑を掛けないって頑張ってくれていました。
いつも、私たちの味方でした。
いつも、私たちを応援してくれていました。
いつも、私たちを心配してくれていました。

そのケンケンが、最期の最期に寝床に排泄してまで、
苦しくて辛いのに、正気に戻ってまで、
私たちに伝えてくれたメッセージ・・・


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 今まで本当にありがとう!
 ボクが逝っても悲しまないでね。
 きっとまた会えるから!
 必ず会えるから!
 でもね、それはカナダじゃないよ。日本だよ。
 だから、悲しまないでね。
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